PR

ゴールデンカムイで見るヒグマとの戦闘を考察【パンチの威力と熊の耐久力】

ゴールデンカムイ
この記事は約13分で読めます。
[PR]記事内のアフィリエイトリンクから収入を得る場合があります
[PR]記事内のアフィリエイトリンクから収入を得る場合があります

ゴールデンカムイの第2話で、杉元は突然目の前に現れたヒグマの顔に正拳突きを放ちます。

咄嗟とはいえ、しっかり腰を落とした渾身の突きが、ヒグマの左眼のやや下の辺りに
「ドゴォッ」
と直撃しています。

…が、
くま「ギロリ」
杉元「効く訳ねえか」

果たして、ヒトはヒグマに対し、素手でどの程度のダメージを与えられるのか?

杉元のパンチの威力、ヒグマの耐久力などを考察してみました。

ゴールデンカムイ第1巻第2話

ヒトのパンチの威力はどのくらい?

パンチ力を計算式で評価できるか?

「パンチの威力」を運動エネルギーの高さで評価してみます。
運動エネルギー:運動している物体が、「別の物体に衝突して仕事をすることが出来る能力」
そして運動エネルギーは次の公式で求められます。

運動エネルギー = 1/2 × 質量 × 速さ × 速さ

これをパンチで置き換えたいところだが、このままでは拳の硬さによる威力減衰が考慮されていません。
グローブを着けた場合と、メリケンサックを着けた場合とでは、当然相手に与えるダメージは大きく異なります。
そこで、パンチ力の計算について検索すると

パンチ力= 1/2 × 体重 × パンチの速さ × パンチの速さ × 威力が残る割合

などと出てきました。
「質量」が「体重」に置き換えられていますが、実際は拳に全体重が乗る訳ではありません。
もちろん、同じ速度で放った場合、体重が多いほど大きな衝撃を与える訳ですが、この計算式のようにまるまる体重を公式に当てはめるのは適切とは言い難いでしょう。
たとえスピードが同じでも、「ジャブ」「ストレート」「正拳突き」などでは、それぞれ力の乗せ方が違うため、この計算式ではふさわしくないように思えます。
「威力が残る割合」は、根拠がないため計算できません。

パンチの速さは約時速30km

え?そんなに遅い訳ないでしょ。っと思ってしまいますが、具志堅用高さんが現役時代にハイスピードカメラでパンチのスピードを測定した記録があります。

5cm刻みで印をつけた目印の上を思い切りパンチを出してもらって5cmを何秒でこぶしが通過するかで計測した結果、やはり時速30km程度だったそうです。

100m走10秒は時速36kmです。
トップクラスの陸上選手が走るより遅いの?と一見思ってしまいそうです。
時速30kmは秒速8.33mです。
60cm先の相手の顔面には0.072秒で到達する計算となります。

ノーモーションで繰り出されるパンチが0.072秒後には顔面に迫ると考えると、すごく早く感じます。

マイク・タイソンのパンチの重さは700kgとも

元ヘビー級世界王者のマイク・タイソン(現役時、体重98kg)のパンチ力は、700kgと言われています。
1tという報告もあれば、170kgという報告もあります。
そもそも、運動エネルギーをkgで表すことは出来ませんし、測定方法によってまちまちです。

パンチングマシーンも独自の測定方法であるため、全て同じ条件で測定しないと、数値だけをもってパンチ力世界一を決めることは出来ません。

MITの研究チームが記した「空手の物理学」によると、一般的な木の板を割るには1cm以上曲げる必要があり、木の板を割るには500ニュートンの力が必要としています。

また、コンクリートブロックは1mm曲げるだけで割れますが、1mm曲げるためには2500ニュートン~3000ニュートンの力が必要です。

そしてマイク・タイソンのパンチ力は1,600ポンドフォース(約7,120ニュートン)と報告されています。
木の板なら簡単にぶち割るし、ブロック2個くらい砕く威力に相当します。
タイソンなら出来そうな気がするので、信憑性は高いような気もします。
7,120ニュートンをkgで置き換えるため、以下の計算式に当てはめます。

この計算式によれば、マイク・タイソンのパンチ力は726.8kgということで、約700kgという報告と重なります。
さらに高いパンチ力の報告もありますが、ここでは世界最高峰のパンチの威力は約700㎏ということで定義します。
また、この数値は一般的な成人男性の10倍以上に相当するとも言われてます。(もっとも、一般的な成人男性のパンチ力のデータについてもまちまちですが)

運動エネルギーをkgで表すのは適切ではありませんが、ここでは一般的に分かりやすく、
パンチ力=重さ
ということで、kgで評価します。

ゴールデンカムイ最強の拳は誰か?

ゴールデンカムイ 岩息舞治
アニメ「ゴールデンカムイ」第26話から

「近接戦闘最強」と言えば、杉元佐一でしょう。
純粋な戦闘センスだけでなく、圧倒的な生命力及びダメージを負えば怯むどころかさらに凶暴になるあたりは、他の強者達には無い強さがあります。

しかし「格闘最強」となると、暴走状態の杉元を抜きにすればチンポ先生牛山辰馬だと思います。
人間を手裏剣のように投げたり、ヒグマを投げ飛ばしたり、圧倒的な腕力を持っています。

ですが「最強の拳」と言えば、やはり岩息舞治ではないでしょうか。
単純な殴り合いなら牛山にも勝ったことがあると言っていますが、「勝ったことがある」という言い回しから、常に勝ってた訳ではなさそうです。
岩息も相当なタフガイ…というより、殴られて喜んでしまうドМですが、杉元の不意打ちの蹴りでダウンしたため、耐久力はある程度人間の範疇からはみ出した程度と思われます。

一方、牛山は銃や手榴弾でなければ基本的にダメージを受けないほど人間を卒業しているので、そんな耐久力オバケの牛山を殴り合いで倒したことがあるということは、とてつもないパンチ力であると言えるでしょう。

そこで、岩息のパンチ力をマイク・タイソン相当(約700kg)とします。
明治時代の日本人がタイソン級なのはおかしいって?
そこはマンガ補正でお願いします。
正確な身長はわかりませんが、タイソンの身長180cm弱よりは岩息の方がかなり大きいように感じるため、ウェイトもかなりあるということで…。

杉元のパンチ力はどのくらい?

ゴールデンカムイ スチェンカ
アニメ「ゴールデンカムイ」第26話から

岩息が一人で杉元達4人をスチェンカで圧倒していた状況及び杉元との体格差を考慮して、岩息の60%くらいのパンチ力(約420kg)と想定します。
マンガ補正と主人公補正です。根拠はありません。

漫画で杉元が岩息を殴ったときの音は「ゴオンッ」
もしこれが、一般人が殴ったなら「ガッ」でしょう。
「ガッ」は軽そうです。
「ゴッ」は重く、固そうです。
「ゴオンッ」ともなれば、脳に響く、しっかりと体重の乗った拳という感じがします。
しかしこれは「ストレート」です。

杉元がヒグマに放った「正拳突き」は、しっかりと腰を落とした、渾身の一撃です。
「ドゴォッ」です。
「ド」がつきました。
鋭く、重く、速くて固い、突き抜けるような一撃だったはずです。
杉元の肉食獣のような強健な背筋を総動員した一撃なので、杉元のパンチ力(約420kg)に20%程度のクリティカルダメージ上昇として500kg相当のパンチと評価しました。(個人の見解です)

しかし、結果は「効く訳ねえか」
なぜなのか。

ヒグマの耐久力を考察

ゴールデンカムイ ヒグマ
アニメ「ゴールデンカムイ」第1話から

杉元が戦ったヒグマは300kg越え?

杉元が対峙したのはオスのヒグマです。
オスの個体は、体長約1.9~2.3m 体重約120~250kgくらいと言われますが、非常に大きな個体も存在します。
近年の記録に残されている最大の個体では、体重が520kgのオス(2007年、えりも町 推定17歳)2019年から2023年6月までに推定66頭の牛を襲ったヒグマ「OSO18」は体長2m10㎝体重330kg
三毛別羆事件のヒグマは350kgと記録されています。

2015年に紋別市で駆除されたヒグマの体長が2.8m、体重400kgと報じられてますので、ヒトとの大きさの対比から、このヒグマレベルの巨体ではないかと推察されます。
ただ、このヒグマはかなり太っているので、冬眠に失敗したヒグマはこれより痩せているのではないでしょうか?

ヒグマ400kg
2015年紋別市 佐藤常男さん撮影

ヒグマの頭部は銃弾も弾く

ヒグマの頭部は非常に固いため、銃で撃っても頭骨にはじかれるか、外側の肉を削ぐだけで致命傷にはならず、下手に撃った人は確実に殺されてしまうと言われています。

写真のとおり、杉元が殴った眼の下あたりは、分厚い骨で固められ、さらにその上に固い肉と体毛で覆われているため、非常に防御力が高いことがうかがえます。
また、この写真の頭蓋骨はメスです。オスの個体はもっと大きいものとなります。

興奮状態では痛みを感じにくい

ヒグマは自分の獲物に非常に執着すると言われています。
自分の獲物を横取りした相手には、怒って襲い掛かります。
さらにこの熊は、冬眠に失敗して徘徊しているので、非常に気が立っている状態です。
そのような状況で攻撃態勢だと、痛みに鈍感になるため、多少の刺激を与えたところで、怯むことなく、ますます興奮させる可能性があります。

人間でも、刃物を振りかざしながら興奮状態の犯人が暴れていたことから、警察官が4発発砲して逮捕した件について、犯人は最初の1,2発は当たったことに気が付かなかったと供述しています。
犯人は「なんか熱いな、とは感じた」と話しており、興奮状態の犯人の肩や脚を撃っても、抵抗をやめると思い込まず、確実に制圧するように教訓となっています。

とはいえ、機先を制して、熊を撃退した例もあります。
2024年4月25日、北海道名寄市において、藪から突然接近してきたヒグマに対し、空手経験のある50代男性が中段蹴りを放ったところ頭に命中し、熊は逃げていったとのことです。
男性は「やられるんだったら、やられる前にやろう」との思いだったそうで、「無茶苦茶固くて、鉄の塊を蹴ったようだった」と話しています。

熊も威嚇のつもりで行ったら、思わぬ反撃でびっくりして逃げていったのかもしれません。
本当に気が立っている状態のヒグマは、たとえ銃で撃っても怯まず、襲ってくる可能性が高いです。

まとめ

ゴールデンカムイ 杉元
アニメ「ゴールデンカムイ」OAD第3弾より

杉元佐一
攻撃力(パンチ力)=約420kg
渾身の一撃によりクリティカル値20%加算=約500kgと想定
〇柔軟な筋力と強健な体幹により、足場の悪さによる威力減衰は無いものとする
〇拳の固さにより、パンチの威力減衰はほぼ無いものとする
〇不死身の杉元モードによる能力加算は無し
〇発生した音「ドゴォッ」

ヒグマ
体重350kgと推定
装備:すごく固い骨、分厚い肉、分厚い体毛
状態:興奮(痛みを一定割合無視)
〇結果に対する反応「ギロリ」

結論
「ドゴォッ」vs「ギロリ」=「効く訳ねえか」

ヒグマと素手で戦うのはやめましょう。

コメント