ペットと暮らす人のためのクマ対策|2026年9月13日確認
クマによる被害は、山の中を歩く人だけの問題ではありません。自宅の庭にいた飼い犬や、犬舎で飼育されていた犬が襲われた事例もあります。「犬が吠えればクマは逃げる」「家の敷地内なら大丈夫」と考えるのは危険です。
この記事では、2024〜2026年に国内で報道・公表された犬や猫の被害事例を中心に整理し、愛犬・愛猫と飼い主を守るために見直したい飼育・散歩・キャンプの準備を紹介します。全国の全事例を網羅した統計ではありません。事件ごとに、確認された被害と推定を分けて記載しています。
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- 周辺で出没情報があれば、犬を屋外につなぎっぱなしにせず、安全な屋内へ。
- 散歩は場所と時間を見直し、犬を放さず、そばで管理する。
- 熊スプレーや熊鈴は補助。出没場所を避ける判断が先です。

ペット・飼育犬が被害に遭ったクマ事件一覧
「行方不明」を「死亡」と読み替えたり、クマによる襲撃が推定段階の事件を確定扱いにしたりしないよう、参照報道の範囲でまとめました。
| 発生・確認時期 | 場所 | 犬の被害 | 報道で分かる状況 |
|---|---|---|---|
| 2026年9月11日 | 長野県塩尻市 | 飼い犬2匹が負傷 | 庭で1匹が顔を負傷。近所の別の犬も重傷とみられる [10] |
| 2026年6月10日 | 宮城県蔵王町 | 飼い犬が負傷 | 腹部にクマの爪痕とみられる傷。畑に足跡 [12] |
| 2026年5月23日報道 | 岩手県大槌町 | 飼い猫が死亡 | クマが猫をくわえて連れ去る様子を住民が目撃 [11] |
| 2025年11月17日 | 秋田県五城目町 | ラブラドール・レトリバーが死亡 | 小屋につながれていた犬にかまれた跡。付近にクマのふん [16] |
| 2025年11月11日 | 秋田県秋田市 | 柴犬が連れ去られ行方不明 | クマが犬小屋ごと引きずり、犬を山側へ連れ去ったとみられる [15] |
| 2025年10月30日 | 秋田県大館市 | 17歳の柴犬が死亡 | 自宅敷地で発見され、内臓が食べられていたと飼い主が証言 [14] |
| 2025年10月25日 | 宮城県大崎市 | 柴犬1匹が連れ去られる | 住宅の庭。10月27日報道時点で行方不明 [1] |
| 2025年10月19日 | 宮城県栗原市 | 秋田犬が負傷 | 住宅敷地でクマと対峙。首近くにけが [13] |
| 2025年9月14日 | 福島県喜多方市 | 屋外で飼育されていた犬が死亡 | クマに襲われたとみられる傷。クマは住宅への侵入も試みた [2] |
| 2025年7月24日報道 | 岩手県岩泉町 | 犬の死亡を確認 | 傍らにクマ。襲われたとみられると報道 [3] |
| 2024年8月3日 | 北海道奈井江町 | 繁殖施設の犬3頭が死亡 | 首の傷、塀に残った毛、足跡からクマの襲撃と推定 [4] |
宮城県大崎市:日中の庭から柴犬が連れ去られる
2025年10月25日午前9時半ごろ、住宅の庭にクマが現れ、飼われていた柴犬をくわえて藪へ入ったと仙台放送が報じました。参照した10月27日の記事では犬の行方は分かっていません。死亡確認済みの事例には数えません。 [1]
この事例から見直したいのは、夜だけ警戒すればよいという考え方です。昼間でも、周辺でクマの出没が続いていれば、庭での過ごし方を変える必要があります。
福島県喜多方市:犬の異変を確かめた先にクマ
2025年9月14日午後9時半ごろ、住人が犬の鳴き声で目を覚まし、窓を開けるとクマがいたとテレビ朝日が報じています。クマは窓から室内に入ろうとし、屋外の犬には襲われたとみられる傷があり、その後死亡しました。[2]
犬の異変を確かめる行動が、人の至近距離での遭遇につながる場合もあります。鳴き声や物音がしても、いきなり屋外へ飛び出したり、窓を大きく開けたりせず、まず安全な屋内から状況を確認してください。
岩手県岩泉町:死んだ犬の傍らにクマ
IBC岩手放送は2025年7月24日、岩泉町でクマに襲われたとみられる犬が死んでいるのが見つかり、傍らにクマがいたと報道しました。この記事では、確認できたこの範囲にとどめ、犬種や襲撃の詳しい経緯は補いません。[3]
犬の姿が見えない、普段と違う痕跡があるというときも、クマの可能性があれば一人で追跡しないことが大切です。
北海道奈井江町:高さ1.8メートルの塀があった繁殖施設で3頭死亡
2024年8月3日、犬の繁殖施設で3頭が死んでいるのが見つかりました。北海道文化放送によると、犬の首に傷があり、高さ1.8メートルの塀にクマの毛、周辺に足跡が残されていたことなどから、クマに襲われたとみられています。一般家庭のペット被害とは区別すべきですが、飼育犬の安全を考えるうえで参考になる事例です。[4]
この事例から、塀や通常の犬舎があるだけでクマの侵入を防げるとは限らないと分かります。柵の高さだけで安心せず、餌の管理や屋内への移動も含めて考える必要があります。
2026年9月・長野県塩尻市:庭の犬2匹が相次いで被害
2026年9月11日夜、塩尻市洗馬の住宅の庭で、クマが飼い犬に覆いかぶさっているのを飼い主が発見しました。飼い主が金属バットでクマを追い払いましたが、犬は顔にけが。さらに近所の別の犬も大けがをし、クマに襲われたとみられています。[10]
直近の事例でも、被害場所は山中ではなく住宅の庭でした。クマの目撃情報が出ている地域では、屋外飼育や夜間の庭への出しっぱなしを見直す必要があります。
2026年6月・宮城県蔵王町:住宅敷地で飼い犬が負傷
2026年6月10日、蔵王町平沢の住宅敷地で飼い犬が負傷しているのが見つかりました。腹部にはクマの爪痕とみられるひっかき傷があり、住宅に面した畑にはクマの足跡が残されていました。蔵王町の公式出没情報にも同日「飼い犬の被害」と記録されています。[12]
2026年5月・岩手県大槌町:飼い猫がクマに連れ去られる
被害は犬だけではありません。2026年5月、岩手県大槌町では、クマが飼い猫をくわえて連れ去る様子を住民が目撃し、その後猫の死骸が見つかったと報じられました。[11]
2025年11月・秋田県五城目町:ラブラドールが死亡
2025年11月17日朝、五城目町の民家敷地内で、8歳のラブラドール・レトリバーが死亡しているのが見つかりました。犬にはクマにかまれたとみられる跡があり、現場近くではクマのふんも確認されています。犬は小屋につながれていました。[16]
2025年11月・秋田市:柴犬が犬小屋ごと連れ去られる
2025年11月11日、秋田市の住宅敷地で、クマが飼い犬の柴犬を襲い、犬小屋ごと引きずりました。小屋は離れた場所で見つかったものの、犬は見つからず、クマが山側へ連れ去ったとみられています。[15]
秋田県も2026年に「愛犬をクマから守るために」という注意喚起ページを公開し、夜間に屋外につながれていた犬が犬小屋ごと連れ去られた事例を紹介しています。[17]
2025年10月・秋田県大館市:17歳の柴犬が死亡
2025年10月30日、秋田県大館市の自宅敷地内で、17歳の柴犬が死亡しているのが見つかりました。飼い主によると、腹部は大きく損傷し、内臓が食べられ、体には落ち葉がかけられていました。[14]
2025年10月・宮城県栗原市:秋田犬がクマと対峙し負傷
2025年10月19日夜、栗原市の住宅で、飼い犬の秋田犬がクマとにらみ合っていました。飼い主が工具を使って追い払い、犬は首の近くにけがをしましたが、命に別状はありませんでした。[13]
大型犬であっても、クマとの接触が安全になるわけではありません。「犬がいれば追い払える」と期待せず、そもそも接触させないことが重要です。
犬がいればクマよけになる、とは限らない
犬が吠えてクマが逃げることがあっても、それを毎回期待することはできません。米国国立公園局は、犬がクマなどの野生動物を刺激し、追われて飼い主のところへ戻ることで、人にも危険が及ぶ可能性を説明しています。[7]
犬をクマに向かわせたり、追い払わせようとしてリードを放したりしないでください。散歩中のリードは犬をそばで管理するために使います。一方、庭でつなぎっぱなしにすることは安全な避難場所の代わりにはなりません。
愛犬を守る対策は「避ける・寄せない・備える」
自宅の庭・屋外飼育
- 周辺で出没情報があれば、犬を安全に管理できる屋内へ移します。夜間だけでなく、日中の留守番も見直します。
- ペットフードと食べ残しを屋外に置かず、食器も片づけます。
- 犬小屋や塀だけで安全と判断せず、住宅の戸締まりも確認します。
- 柵などの設備対策が必要な場所は、自治体の担当窓口に相談します。
犬小屋の周囲を電気柵で囲うのは有効?
クマの侵入防止という目的では、適切に設置・維持された電気柵は有効性の高い対策です。北海道立総合研究機構は、適切に設置された電気柵について、農業被害をほぼ完全に防除できることが実証されていると説明しています。北海道檜山振興局でも、6,000〜9,000Vの電気牧柵を用いたモデル地区で3年間ヒグマ被害が発生しなかったとしています。[18] [19]
ただし、犬小屋そのものを電気柵のすぐ内側に置くのではなく、犬が普段動く範囲のさらに外側を囲う「外周バリア」として使うのが現実的です。犬自身が柵線に触れられる配置は避け、犬舎・係留範囲と電気柵の間に十分な離隔を取ってください。電気柵を突破された場合、つながれた犬は逃げられないため、クマの出没が続いている地域では屋内飼育への切り替えを優先します。
電気柵は高電圧を扱う設備です。市販の電気柵用電源装置を使用し、家庭用コンセントから柵線へ直接通電するような自作は絶対にしないでください。農林水産省は、危険表示、適切な電源装置、条件に応じた漏電遮断器、専用の開閉器などの安全措置を求めています。住宅地や人が通る場所で使う場合は、設置条件を特に慎重に確認してください。[21]
日々の散歩
- 自治体・警察の出没情報を確認し、直近の目撃や痕跡があるルートを避けます。
- 藪、見通しの悪い林道、薄暗い時間帯を避ける方向で予定を組み直します。
- 犬は放さず、飼い主のそばで管理します。茂みの奥まで先行させません。
- 犬が突然何かに反応したときは、興味本位で近づかず、周囲を確認して引き返します。
出没情報の事前確認や薄暗い時間帯を避ける考え方は北海道の案内、犬の管理は米国国立公園局の注意喚起を参考にしています。現地の規制・指示を優先してください。[6] [7]
犬連れキャンプ・旅行
- 予約前に犬の同伴範囲とクマの出没状況を確認します。入場可能でも、安全が保証されるわけではありません。
- 犬をテントの外につないだまま眠らず、ペットフードは施設指定の方法で保管します。
- テントをクマの侵入を防ぐ避難場所とは考えません。出没時の避難先を管理者に確認します。
- 現地で警戒情報が出たら、予定を短縮・中止する判断を優先します。
もし散歩中や自宅でクマを見たら
犬を取り返そうと追いかけたり、撮影のために接近したりすると、人にも危険が及びます。安全な建物などに退避し、差し迫った危険がある場合は110番へ。人が負傷して救急搬送が必要なら119番へ連絡してください。
離れたクマを見つけた場合は近づかず、逃げ道をふさがず、落ち着いて距離を取ります。走って逃げることは避けてください。犬をクマに向かわせず、自分から威嚇や接触を試みないことが基本です。遭遇時の対応はクマの行動や距離に左右され、ひとつの動作で必ず安全になるわけではありません。[9]
熊対策用品は、役割と限界を知って選ぶ
最初に見直すのは、散歩のルートと屋外での飼育環境です。そのうえで、携帯用品や敷地側の防除設備が必要な地域・環境なら、次の3種類を検討してください。ペットに直接使う商品ではなく、飼い主が携行する備えです。
1. 熊撃退スプレー+ホルスター
フロンティアーズマンの熊用スプレー。携帯する場合は、熊用であること、使用期限、販売元、日本語の説明書、ホルスターの付属を確認します。バッグの底にしまわず、すぐ取り出せる位置へ。
熊に近づいて使う道具ではありません。噴射のタイミングと有効距離は製品の説明書に従い、風の影響も考慮します。犬の体・首輪・テントへの予防散布はしないでください。
2. 消音できる熊鈴
モンベル「トレッキングベル スクエア サイレント」。見通しの悪い道で人の存在を知らせる補助用品です。住宅地など音を抑えたい場所では消音できるタイプが便利です。
熊鈴は撃退を保証しません。近くにクマがいると分かっている場所へ入る理由にはせず、まずルートを変更してください。
熊スプレーは、使う前に取り出し方や安全装置の操作を確認します。風や気温の影響を受けるため、表示された最大噴射距離を「必ず効く距離」と考えないでください。一般の護身用スプレーを熊用として代用することも避けます。[8]
購入頻度や使用期限が気になる方は、熊スプレーのレンタルと購入の比較も参考にしてください。価格・在庫・使用期限・セット内容は販売先で確認できます。
よくある疑問
大型犬ならクマから守ってくれる?
犬の大きさや犬種を安全対策の代わりにしないでください。犬がクマに近づくことで、飼い主を巻き込む危険もあります。クマの追い払いを犬に任せないことが基本です。[7]
熊スプレーを犬の体や犬小屋にかけておけばよい?
予防散布はしないでください。熊スプレーは刺激性のある噴射剤で、身に着けて虫よけのように使うものではありません。犬の体や首輪、衣服、テントに吹き付けないでください。[8]
猫など、犬以外のペットは安全?
この記事で取り上げた事件が犬中心だからといって、ほかの動物が安全だという意味ではありません。クマの出没がある場所では、ペットを屋外に放置せず、餌を外に残さない管理を基本に考えてください。
犬や猫の被害は全国で何件ある?
本記事は、確認できた主な報道・公表事例を紹介したもので、全国の総数ではありません。ペット被害だけを全国一律に集計した統計とは異なるため、この一覧だけで発生確率や全国の総件数を判断することはできません。
今日の散歩前に確認したいこと
- 近所や行き先で、最近クマが目撃されていないか。
- 明るく見通しのよい道へ変更できるか。
- リード・首輪・ハーネスに緩みや破損がないか。
- 屋外にペットフードや食べ残しが残っていないか。
- 必要な熊用品を、使い方を理解した状態で携帯できるか。
被害に遭った家族を責めるのではなく、自分の生活で変えられる部分を確認することが大切です。愛犬との日常を守るために、まずは次の散歩の道と、庭で過ごす時間から見直してみてください。
出典・参考資料
- 仙台放送/FNN(2025年10月27日)大崎市で柴犬が連れ去られた事例
- テレビ朝日(2025年9月16日)喜多方市で飼い犬が犠牲になった事例
- IBC岩手放送(2025年7月24日)岩泉町で犬の死亡を確認した報道
- 北海道文化放送/FNN(2024年8月9日)奈井江町の犬3頭の被害
- FOX(2023年10月2日)バンフ国立公園での夫婦と犬の死亡事故
- 北海道「野山でヒグマに出会わないために」
- 米国国立公園局「Pets」犬がクマを刺激する危険とリード管理
- 米国国立公園局「Bear Spray & Firearms」携行方法・誤使用防止
- 米国国立公園局「Staying Safe Around Bears」遭遇時の基本対応
- NBS長野放送(2026年9月12日)塩尻市で飼い犬が襲われた事例
- IBC岩手放送/TBS NEWS DIG(2026年5月23日)大槌町で飼い猫が連れ去られた事例
- 蔵王町「クマの目撃等情報」2026年6月10日の飼い犬被害
- テレビ朝日(2025年10月21日)栗原市で秋田犬がクマと対峙した事例
- 集英社オンライン(2025年12月18日)大館市で17歳の柴犬が死亡した事例
- テレビ朝日(2025年11月12日)秋田市で柴犬が犬小屋ごと連れ去られた事例
- ABS秋田放送(ライブドアニュース掲載、2025年11月17日)五城目町でラブラドールが死亡した事例
- 秋田県「愛犬をクマから守るために」
- 北海道立総合研究機構「ヒグマ」Q&A:適切に設置された電気柵の効果
- 北海道檜山振興局「電気柵の紹介」:ヒグマ対策の効果・電圧・維持管理
- 秋田県「クマについてよくあるご意見・ご質問」:クマ用電気柵の20・40・60cm三段張り
- 農林水産省「電気さく施設における安全確保について」
2026年9月13日更新。事件の状況は各参照記事・自治体発表の確認時点の情報です。全国の全件一覧ではありません。被害写真の転載や、実際の襲撃と誤解される再現画像は使用していません。
・Uusijani撮影-CC0.jpg)
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